📖『暇なんかないわ たいせつなことを考えるのに忙しくて』アーシュラ・ル=グウィン

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（感想はここから続くTweetに👇）

『ひとり居の日記』を読んだ時とは確実に自分が変わっていることを感じる。どうやって人生の終盤を迎えるかはまだ実感できないにしても、そこにある納得については、身に覚えがある

こんな風にブログを残してくれてよかった。作品の他に、ル=グウィンが何を考えて何を見ていたのかを読めて嬉しいもの。ここに収録されていない他のブログもそのうち読んでみよう。

私はこんな風にはなにものでもないけれど、誰かがそれを読んで読んでよかったなと思えるものを残せるといいんだけどな。

そういうブログを書こう、と思うと構えてしまって書かなくなるので、まあ気楽に。

読んでとても良かったなと思うのは、こうしてまっとうに年をとることができるのだ、という風に勇気づけられたこと。

そろそろ自分が、今の時代の感覚や価値観とは離れたジェネレーションにいることも自覚している。ともすれば自分が長く居座ったその視点でものを見ようとしていることにはっと気づくこともたびたびある。

別に今の価値観にすべてを譲るのがいいとは思っていなくて、自分がどうしても大切にしているものは簡単には置き換えられない。でも、たとえそういうものでも一度は「ほんとうにそのままで良かったかな」と取り出して見直して、疑ってみることは、してみても良いと思う。

せっかく今の時代に生きていて、色んなものが流れて変わってゆくその中で、新しくものごとを発見できるかもしれない。

たとえ年齢が違くても同時代に生きていて、一緒に語り合うチャンスがあるのだから、その会話の前提としてのものごとを共有しておくのが良い。

年をとるにつれて、偏屈がどんどん強くなったり、都合よく自分のジェネレーションに逃げたり、見えていないことや理解できないことをなかったことにしたりする、そういう偏向をよく見かけるけれど、私はなるべくそうはなりたくないなあと思う。

そしていつも自分の前にあるものとして世界を見たい。

自分が多く年月を過ごしてきて知り尽くしている世界、もうすぐ去る世界、結局ままならなかった世界、そういう風にレッテルを貼ることなく、目の前に生きたものとして世界と向き合いたい。

死ぬまできっとそれができるんだ。

ということを、この本を読んで感じた。